Th1/Th2細胞検査とは
体外受精において、40歳未満の方が良好な受精卵(胚)を用いて4回以上移植を行った場合、80%以上の方が妊娠できるとされています。良好な胚を用いて4個以上かつ3回以上移植しても妊娠できない場合を反復着床不全(RIF)と言います。
反復着床不全(RIF)の原因としては、
- 受精卵(胚)の問題
- 慢性子宮内膜炎やポリープという子宮内環境の問題
- 受精卵(胚)を受け入れる側の免疫状態の問題
が挙げられています。
以前から、原因不明な反復着床不全・不育症でお悩みの患者様は、胚や胎児に対する拒絶反応が強くなる免疫異常によって、不妊になるのではないかと言われてきましたが、近年、不育症検査に異常が現れなくても、血中のTh1値が高いと不妊リスクが高くなるという報告もあります。
ThとはヘルパーT細胞のことであり、ヘルパーT細胞には細菌やウイルスなどの異物に反応し細胞性免疫を誘導する「Th1細胞」と、液性免疫を誘導する「Th2細胞」に分かれます。
正常妊娠では、胎児や胎盤を攻撃するTh1細胞が減少し、Th2細胞が優位になります。対して、Th1値が高くなるほど、胎児や胎盤を排除しようとして、反復着床不全などを引き起こしてしまいます。
Th1/Th2細胞検査とは、血中に含まれるTh1/Th2の比率を調べる血液検査です。Th1/Th2の比率が10.3以上だった場合は、免疫抑制剤であるタクロリスムを内服していただき、血中のTh1値を下げてTh1とTh2の比率を調整します。
子宮内での胎児や胎盤に対する拒絶反応を抑制させることで、着床が期待できるようになります。
なお、この検査は事前予約が必要であり、事前に専門外来「着床不全外来」でご案内しております。ご希望の方は必ず事前にお問い合わせください。