卵子凍結(社会的適応)

卵子凍結(社会的適応)

卵子凍結とは

卵子凍結とは、将来の妊娠・体外受精に備えて事前に自身の卵子を採取して、凍結保存しておくことです。
凍結保存することで、若いときの生殖能力を保ったまま長期間の保存が可能になります。

医学的適応の卵子凍結:悪性腫瘍(癌)などの治療によって、その後に卵巣機能の低下が予想される場合
社会的適応(ノンメディカル)の卵子凍結:加齢などの要因で卵巣機能の低下をきたすことが予想される場合

日本産科婦人科学会の動画(ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ)はこちら↓
https://www.jsog.or.jp/medical/865/

当院ではノンメディカルな卵子凍結を目的で採卵するご年齢は原則40歳未満とさせていただきます。
ただし40歳以上の場合もご相談は承っております。

未受精卵子の凍結保管または未受精卵子を用いた治療(胚移植など)に関しては、学会より45歳未満が推奨されています。
そのため当院でも凍結保管は45歳未満を推奨しますが、45歳以上で凍結延長や治療をご希望の場合は健康状態を配慮しながら最長で50歳未満とさせていただきます。

卵子凍結の保管については、当院が保管先として提携しているGrace bankまたは卵子凍結あんしんバンク(CellSource)での保管、当院保管の選択肢があります。

当院が保管先として提携している「Grace Bank」では、無料の個別相談を行なっていますので、まずは相談したいという方は是非ご活用ください。

当院が保管先として提携している「卵子凍結あんしんバンク(CellSource)」では卵子凍結に関する説明サイトがあります。是非ご参照ください。

卵子凍結における妊娠率

卵子凍結によって保存した卵子を使って妊娠・出産するためには、卵子と精子とを体外で受精させる生殖補助医療(ART)が必須となります。

凍結した卵子は、融解して精子と顕微受精させ、その結果得られた受精卵(胚)を子宮内に移植(胚移植)を行い妊娠にいたります。
ただし、その過程で融解による卵子の破損、受精しない、受精しても良好胚が得られない、移植しても妊娠成立しない、妊娠しても流産してしまうなどの可能性があります。融解後の卵子の生存率は90~97%、受精率は71~79%、着床率は17~41%、移植当たりの融解卵子あたりの臨床妊娠率は4.5~12%であったとの報告もあります。(Practice Committees of ASRM. Mature oocyte cryopreservation: a guideline. Fertil Steril. 2013より)

また、凍結卵子10個あたりで妊娠できる確率
・30歳以下・・・80%程度
・31〜34歳・・・75%程度
・35〜37歳・・・53%程度
・38〜40歳・・・30%程度
・41歳以上・・・20%以下
と報告されています。      
(R H Goldman et al., Hum Reprod, 2017より)

卵子の生存率とその後の着床率を考えると、なるべく若い年齢で卵子凍結を行い、10個以上の未受精卵を凍結保存しておくことが望ましいということがわかります。採取できる卵子の個数に関しては、それぞれの卵巣機能によりますので具体的な採卵個数目標は個別にご相談させていただきます。

当院での卵子凍結の流れ

卵子凍結初診:卵子凍結についての説明を行います(通常は説明のみで検査は行いません)

卵子凍結説明:当院での具体的な説明、自己注射説明、事前検査を行います。
Grace bank、卵子凍結あんしんバンク(CellSource)など卵子凍結サービスをご希望の場合は、事前に登録をお願いします。

月経開始1~3日以内でご来院いただき、検査結果をもとに具体的な治療計画の作成を行って 「排卵誘発」を開始します。(排卵誘発を開始してから、採卵までの期間を採卵周期といいます。)

月経開始から9~11日目ごろにご来院いただき、ホルモン検査・超音波検査を実施し、採卵日を決定します。
卵胞発育の状況次第では、採卵日決定のために再度来院が必要なこともあります。

月経開始から12~14日目ごろが採卵の時期となります。

採卵後7~10日後に卵巣状態の診察で受診いただきます。

※スケジュールに関しては目安であり、それぞれの検査結果や卵胞発育状況によって異なります

当院での卵子凍結の流れ

卵子凍結の保管方法

当院は凍結卵子の保管先として卵子凍結保管サービス「Grace Bank」と提携しています。
(HP:https://gracebank.jp/about/)
凍結卵子は長期保管が見込まれるため、医師の急病などでクリニックが閉鎖してしまった場合でも、凍結卵子はグレイスバンクで保管されているため、慌てて転院先をさがしていただく必要がありません。
また、転居に伴い当院への通院が難しい場合でも、グレイスバンクと提携している全国のクリニックへの凍結卵子の移送が可能です。
Grace Bankの利用は事前に会員登録が必要です。
こちらから登録をお願いします。

Grace Bankはさい帯血保管を行うステムセル研究所にあり、ステムセルの保管システムは24年間無事故を誇り、最新のモニタリング機器と厳重なセキュリティ設備で患者様の大切な卵子をお預かりします。
将来、凍結した卵子を使って体外受精をする際は全国にある提携クリニックにて凍結卵子を利用した不妊治療を受けることができます。

  • 液体窒素の自動供給システム
  • 24時間対応の監視・記録・緊急時体制
  • 突然の地震や津波にも強いエリア
  • 最も高いレベルの建築物耐震基準クリア
  • ALSOK社による24時間警備体制


 

当院は凍結卵子の保管先として卵子凍結保管サービス「CellSource」と提携しています。
以下のバナーより詳細はご確認いただけます。

卵子凍結の保管方法

卵子凍結のリスク・副作用

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

卵を複数個発育させるため排卵誘発剤の使用により発生する副作用です。卵巣で複数個の卵胞が増大する結果、卵巣が6cm以上に腫れ、しばしば腹水の貯留も認めます。自覚症状には腹部膨満感、胃部不快感、尿量減少などがあります(普段はいているスカートやズボンがきつくなった、胃が痛い、トイレに行く回数が減り一回の尿量も少ない、急に体重が増えた)。重症のOHSSでは入院による治療が必要となります。OHSSになりやすい人としては、若い人、痩せている人、卵巣に小さい嚢胞が多数認められる多嚢胞性卵巣症候群の人、採卵決定時の卵胞ホルモン(E2)が3,000 pg/mLを超えた人、採卵された卵子の数が20個以上の人等が挙げられますその場合は、数日間の自宅安静が必要となります。入院を要するような重度の副作用が発生するケースは全体の1%以下です。

採卵に伴う合併症

下腹部の痛みや、出血などの症状が出る場合があります。採卵は基本的には安全な手技ですが、経腟超音波ガイド下にて卵巣を穿刺するため、極めてまれに腸や膀胱などの臓器損傷を起こす可能性が報告されています。また、卵巣表面からの出血、卵巣内での感染が起こる可能性がありますが、全体の0.3%程度です。このような場合には、数日間の安静入院が必要となる場合があります。

その他、麻酔に伴う合併症、血栓症、薬剤アレルギーなどがあげられます。
詳しくは治療開始時に説明させていただきます。

卵子凍結の費用

料金は全て自費となります、今後料金は予告なく変更になる場合があります。

項目 料金(税別)
採卵処置代 50,000円
静脈麻酔代 50,000円
採卵術加算 1個の場合 24,000円
採卵術加算 2-5個の場合 36,000円
採卵術加算 6-9個の場合 55,000円
採卵術加算 10-14個 72,000円
採卵術加算 15個以上 90,000円
凍結保存料(未受精卵子) 10,000円/個
胚凍結保存維持管理料
(当院保管2年目以降)
1年間 50,000円
※上記値段に加えて、
初診料 3,000円(税別)、事前検査費用 約20,000円(税別)、再診料、採血検査費、経腟超音波費、薬剤費用が診察毎に全て自費で発生します。

凍結卵子を用いて治療を行う場合

項目 料金(税別)
融解料 30,000円
顕微授精 1個 48,000円
顕微授精 2-5個 68,000円
顕微授精 6-9個 100,000円
顕微授精 10-14個 128,000円
顕微授精 15個以上 160,000円
胚凍結胚保存料 1個 50,000円
胚凍結胚保存料 2-5個 70,000円
胚凍結胚保存料 6-9個 102,000円
胚凍結胚保存料 10-14個 130,000円
胚凍結胚保存料 15個以上 150,000円
凍結融解胚移植(胚1個) 120,000円

(料金は税抜価格、2025年4月現在、料金は予告なく変更になる場合があります)

卵子凍結のよくある質問

卵子凍結をするために何回くらい通院が必要ですか?

初診、説明・事前検査、排卵誘発開始、ホルモン検査と超音波、採卵、採卵後診察の、最短6回のご来院となります。
くわしくは「卵子凍結の流れ」をご覧ください。

仕事をしながらでも卵子凍結可能ですか?

卵子凍結をされている方の多くが仕事をされながら実施されております。詳細のスケジュールは患者様によって異なりますので、一度当院へご相談ください。

卵子をいくつ凍結しておく必要がありますか?

10個以上の未受精卵を凍結保存しておくことが望ましいですが、卵巣機能によっては1回の採卵での確保は難しく、複数回の採卵が必要になる可能性があります。ご不安・ご質問などあれば当院へご相談ください。

現在のパートナーとの妊娠を将来的に考えている場合は?

現在のパートナーとのお子様を将来ご希望の方は、卵子凍結ではなく受精卵凍結の方が妊娠の可能性が高くなります。一度当院へご相談ください。

例えば、10個の卵子を凍結する場合の費用はどのくらいですか?

卵子10個を凍結する場合の費用目安は43万円前後ですが、診察回数や薬剤使用量により費用は異なります。

 

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