月経(生理)の異常

月経(生理)の異常

このような
お悩みはありませんか?

  • 「月経周期がバラバラでいつ月経がくるか予測できない」
  • 「ここ3ヶ月くらい月経がずっと来ない」
  • 「月に月経が2回も来た」
  • 「経血量が多い」「月経(生理)がとまらない」

このようなお悩みの方は、ぜひ婦人科へ行くことをお勧めいたします。月経不順が起きる原因は色々ありますが、中には婦人科疾患の症状として月経不順が起きることもあります。
放置せずに、お気軽に当院までご相談ください。

正常な月経周期

日本人女性の場合、初潮(初経)を迎える年齢は10~14歳です。(平均年齢は12歳だと言われています。)し月経が始まって間もない10代はまだ身体が成熟しきれていないので月経不順になることもありますが、20代前半になると月経周期は安定してきます。健康な女性の場合、出血が持続する期間は3日~7日間(平均4.6日)で、正常な月経周期(月経1日目から次の月経が来る前日まで)は25~38日です。(毎月一定ではなくても、6日以内のズレでしたら問題ありません)。

月経周期はエストロゲンとプロゲステロンという、卵巣から分泌される女性ホルモンの働きでコントロールされています。また卵巣は、脳の視床下部、下垂体という臓器から分泌されるホルモンによってコントロールされています。その他、甲状腺ホルモンなども月経周期に関わります。健康な状態ですと、卵胞期にエストロゲンが分泌され、排卵~黄体期の間になるとプロゲステロンが分泌されるようになります。この二つのホルモンが増減を繰り返すことで、バランスが保たれているのですが、何らかの理由によって二つのホルモンの分泌にトラブルが生じると、月経(生理)不順が起きてしまいます。

月経不順は婦人科系の疾患だけではなく、体調不良や生活環境の変化からくるストレスが原因で起きることも少なくありません。特に進学や就職、結婚、引っ越しなど、生活環境が大きく変わるライフイベントが起きた時に、月経不順になる女性は多いとされています。

月経不順とは

「3ヵ月以上月経(生理)がみられない状態」を無月経、「月経周期が39日以上空いている状態(90日以内)」を稀発月経、「月経周期が24日以内になる場合」を頻発月経と定義されています。また、経血量が少ない状態を「過少月経」といい、多い状態を「過多月経」といいます。月経量の正常範囲は、1周期あたり20mlから140mlです。
出血期間の異常としては、出血が2日以内の状態を「過短月経」、8日以上続く状態を「過長月経」といいます。
月経不順の原因は主に、過労やストレス、肥満、過度なダイエット(急激な体重減少)などです。このような原因によって、ホルモンバランスが乱れてしまい、周期がバラバラになります。また、何らかの婦人科疾患が原因で月経不順になるケースもあるため、放置せずに当院へご相談ください。

原発性無月経と続発性無月経

「原発性無月経」とは、18歳になっても初潮が起こらない状態のことです。18歳以上の方で、初潮が来ていない方は、検査を行い、原因を特定する必要があります。なお、主な検査方法としては、エコー検査や内分泌検査、染色体検査などがあります。
一方、「続発性無月経」とは、今まで規則的に月経が起きていたのにも関わらず、三ヵ月以上月経が起きない状態のことです。妊娠および授乳中ではないにもかかわらず、無月経が続く場合は当院までご相談ください。続発性無月経の主な原因はストレスとされていますが、中には甲状腺機能異常、過度なダイエット、高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群、薬の副作用が考えられます。問診や超音波検査、血液検査などで原因が判明することも多くあります。原因を見つけ、しっかり治療をしていきましょう。

検査

内分泌検査

血中に含まれる、以下のホルモンなどの数値を調べます。

  1. 下垂体から分泌されるホルモン
    ・黄体形成ホルモン(LH)
    ・卵胞刺激ホルモン(FSH)
    ・乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)
  2. 卵巣から分泌されるホルモン
    ・エストラジオール(卵胞ホルモン、エストロゲンの一種)
    ・プロゲステロン(黄体ホルモン)
    ・テストステロン(男性ホルモンの一種)
  3. その他
    ・甲状腺ホルモン

基礎体温測定

毎朝起床時に、婦人体温計を用いて基礎体温を計測していただきます。基礎体温を記録することで、排卵の有無や排卵日を予測することができます。

超音波検査法

エコーを用いて、子宮の大きさや位置、卵巣に異常がないか調べます。

ホルモン負荷テスト

ホルモン負荷テストでは、無月経の状態や種類を調べます。
続発性無月経の疑いがある場合はプロゲステロン投与を行い、出血の有無を調べます。
プロゲステロンの投与後に、消退性血(多量分泌されていたホルモンの分泌量が、急に減少した時に起きる出血)があった場合は、「第1度無月経」と判断します。
プロゲステロンを単独で投与しても出血が起きなかった場合は、プロゲステロンとエストロゲン両方を同時に投与します。投与後に出血が起きた場合は「第2度無月経」になります。

月経不順の種類と治療法

稀発月経

月経周期が39日以上に及ぶ場合を稀発月経と言います。稀発月経には、突然周期が長くなることから徐々に周期が長くなることまで様々な場合があります。
これは、卵巣の機能が不十分なためにホルモンが正常に分泌されないことが原因とされています。
なお、稀発月経の場合でも、排卵が行われていれば妊娠や出産は可能とされています。ただし、中には無排卵の場合もありますので、妊娠や出産を考えていらっしゃる場合には、お早めにご相談ください。
※正常であっても卵胞の成長に時間を要する方もいらっしゃいます。この場合、月経周期が39日以上であっても規則正しく月経が訪れていれば排卵はできている場合もあります。

頻発月経

稀発月経とは異なり、月経周期が短く24日以下という場合、頻発月経の疑いがあります。頻発月経の方の中には、月に2回生理が訪れるという方もいらっしゃいます。頻発月経も稀発月経同様、卵巣機能が十分に働かないことでホルモンバランスが崩れていることが原因と考えらます。

過長月経

月経の期間が長く、8日以上続く場合には過長月経の疑いがあります。稀発月経や頻発月経とは異なり、過長月経の場合、視床下部や脳下垂体、卵巣に何らかの異常があることが考えられます。また、こうした臓器の障害により無排卵周期や黄体ホルモンの分泌が十分でない可能性があります。

過短月経

月経の期間が短く、2日以内に月経が終わってしまう場合を過短月経といいます。これは、経血量が少ない過少月経を発症している方に見られがちですが、女性ホルモンの分泌量が少ないために子宮内膜の厚みが不足することや、子宮の発育不全などがあると考えられます。

更年期前の月経不順

日本人の閉経の平均年齢は50歳程度です。閉経の前後5年間が更年期と呼ばれる期間です。35歳前後から卵巣の機能は徐々に低下し始め、月経周期の乱れや経血量の減少が見られるようになります。これは、更年期に向けて身体が徐々に変化しているためと考えております。必要に応じてホルモン補充療法を行っております。お気軽にご相談ください。

黄体機能不全

排卵後、卵巣内にあった卵胞は黄体に変化します。黄体からプロゲステロンとエストロゲンが分泌されますが、黄体機能不全では、プロゲステロンの分泌や作用に異常が生じるため、妊娠すると赤ちゃんのベッドとなる子宮内膜が脱落膜化せずに剥がれ落ちるため、予定より早く月経が来ます。妊娠を希望する場合は、不妊症や不育症の原因となることがあります。

無排卵性周期

月経(生理)のような出血はみられるものの、排卵が確認できない状態を「無排卵性周期」といいます。
脳の視床下部や下垂体からのホルモン分泌が障害されているため、排卵ができない状態となり、排卵後にプロゲステロンが分泌されず、わずかに分泌されるエストロゲンによって子宮内膜が厚くなっていきます。子宮内膜が厚くなりすぎると、維持できなくなり出血します。

多嚢胞性卵巣

超音波で卵巣をみると卵巣内に小さな「嚢胞」が多数あるのと、黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)のバランスが崩れるのが特徴です。卵巣内に小さな「嚢胞」は未熟な卵胞です。お子さんの希望の有無などで治療法は変わります。妊娠の希望がある場合には、クロミッドの処方や、排卵促進効果が期待できる排卵誘発法などを活用します。

高プロラクチン血症

脳の下垂体から分泌されるプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)が基準値より高くなることで、月経(生理)が止まったり、月経(生理)不順になったりします。抗うつ剤や胃薬の副作用で発症する方も少なくありません。
下垂体腫瘍ができることで生じるケースも存在しますが、中には薬の副作用でも腫瘍でもない、原因不明なケースもあります。
治療法はブロモクリプチンやカベルゴリンなどのドパミン作動薬を処方してプロラクチンの数値を下げます。MRIなどの精密検査で下垂体腺腫が発見された際は、手術を行います。

機能性子宮出血

女性ホルモン分泌の異常により月経ではないタイミングで子宮内膜が剥がれ落ちるため引き起こされる月経異常です。女性ホルモン分泌の異常が生じやすい思春期や更年期障害の女性などに多く見られます。

若年性出血

月経(生理)が起きたばかりの年代に多い出血です。月経(生理)不順もみられ、無排卵性であるという特徴があります。

排卵期出血

性成熟期の女性に多くみられる出血です。排卵期におけるホルモン分泌の急激な変動によって子宮内膜の一部が剥がれ落ちたり、卵巣から出血することで生じます。量は少なめで、月経(生理)と月経(生理)の中間に起きやすいことから、「中間期出血」とも呼ばれています。

その他の月経(生理)異常

出血量が多い
(過多月経)

月経量の正常範囲は、1周期あたり20mlから140mlです。しかし、月経量を測ることは日常では難しく、自分の月経量が多いか他の人と比べにくいという現実があります。

  • 昼でも夜用のナプキンを使う日がある(3日以上)
  • 普通のナプキンだと1時間以内に交換しないとならない
  • 月経血にレバーのような大きなかたまりが混じっている
  • 経血量が増えた
  • 月経の日数が長くなった

など感じていませんか?
放置すると鉄欠乏性貧血になりやすいので、頻発している場合は婦人科へ相談しましょう。
また、上記に当てはまる方で、以下に一つでも該当する方は、過多月経による鉄欠乏性貧血の疑いがあります。

  • 血液検査で、貧血といわれたことがある、また、血液中の鉄が少ないといわれたことがある
  • 立ったときにくらっとしたり(立ちくらみ)、めまいがする
  • 少し動いただけで脈が速くなる(動悸)、息切れがする
  • すぐにつかれてしまう、身体いつもがだるい
  • 頭痛や頭が重い感じがある

命にかかわる場合もあるため、必ず受診をしましょう。
過多月経の原因は、子宮筋腫、子宮腺筋症などの子宮の病気がある場合と、原因となる病気がない場合があります。原因がない場合では、体内のホルモンや血液の止まりにくさなどが影響している場合が考えられます。過多月経を契機に血液の疾患が見つかることもあります。

出血量が少ない
(過少月経)

経血量が少ない状態をいい、経血量はだいたい「ナプキンに経血が少しつくだけ」程度です。月経(生理)が来ても無排卵月経であるケースが多いです。子宮内膜の異変や子宮の発育不全などが原因だと言われています。不妊の原因となっている可能性もあるため、妊娠をご希望される方は早めに受診をしましょう。

月経(生理)痛が強い
(月経困難症)

月経困難症とは、月経数日前~月経中~月経終了直後に下腹部痛や腰痛があり日常生活に支障をきたす状態です。
月経困難症の原因となる疾患がある場合を器質性月経困難症(続発性月経困難症)といいます。
原因としては、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮奇形などが挙げられます。
しかし、実際には上記のような原因がない場合も多く、機能性月経困難症(原発性月経困難症)と呼ばれます。
腹痛や腰痛の症状以外に、腹部の張りや頭痛、下痢や便秘、気分の不調(落ち込みやイライラ)、疲れやすいなどの症状もみられます。子宮内膜がはがれる際に産生されるプロスタグランジンにより、子宮筋の収縮が促され、痛みが強くなります。さらに、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの疾患がある場合には痛みが増強します。
治療法は疾患が認められれば、手術も考慮した治療法から選択します。機能性月経困難症の場合には、対症療法からホルモン療法、漢方療法まで患者様の状況に応じて個別に決定していきます。

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