ヒューナー検査
*実は、ヒューナーテストは再現性も乏しく、この検査の異常を理由に不妊治療を選択することは非常に難しく、不妊症検査として有用であるというエビデンスはありません。このため、欧州生殖医学会(ESHRE)やアメリカ生殖医学会(ASRM)のいずれにおいても、ヒューナーテストをお勧めしていません。当院もヒューナテストの効果は限定的ととらえていますので、積極的には患者様にはお勧めはしていません。
ヒューナー検査とは、多くの女性が排卵の3~4日前に感じたことのある透明で粘り気のある膣分泌物である頸管粘液(子宮口の粘液)を採取して、頸管粘液の中にある精子が進入できているかを確かめる検査方法です。
検査は、排卵時期に合わせて性行為を行っていただき、その後、「10時間以内」に来院していただき、顕微鏡で検査という流れになります。メリットとしては、検査時の痛みが生じないという点があります。
ヒューナー検査の判定基準
(400倍視野あたりの運動精子数)
運動精子の数 | 判定結果 |
---|---|
15匹以上 | 妊娠する可能性が高い |
5~14匹 | 妊娠への期待は十分にできる |
4匹以下 | 妊娠する可能性が低い |
0匹 | 無精子症や抗精子抗体の可能性が考えられる |
ヒューナー検査は1回行っただけでは精密性に欠けるため、1回目の検査で異常がみられた場合、再検査を1~2回行います。
また、女性の身体に「抗精子抗体」という抗体が産生されることで、運動精子がゼロになるケースもあります。抗精子抗体とは、精子の動きを止めてしまったり、受精能力をなくしたりする働きを持つ抗体です。抗精子抗体があると、精子が体内に進入しても卵まで到達できず、不妊を引き起こしてしまいます。不妊症の女性の3%が、この抗精子抗体が原因だと報告されています。
なお、この検査では、超音波検査の結果や頸管粘液の状態を判断してから、排卵日を推定することで排卵のタイミングに合った性生活を行っていただく必要があります。最も妊娠しやすいタイミングに性交渉をする「タイミング法」と一緒に行うことで、妊娠に成功される患者様もいらっしゃいます。ヒューナー検査とともに、タイミング法に関しても疑問点等ございましたら、お気軽にご相談ください。