アシステッドハッチング

アシステッドハッチング

アシステッド・ハッチングとは

アシステッド・ハッチング(Assisted hatting:AHA)とは、胚が着床できるように、透明帯からの孵化(ハッチング)を補助(アシスト)するために、透明帯の一部を薄くしたりしたり穴をあける技術です。
胚は透明帯という膜に包まれていて、分裂が進むと4~5日目で胚の内部に水分が蓄えられ、「胚盤胞」に育ちます。胚盤胞は、細胞の増殖とともに内腔が大きくなると、透明帯は薄くなり「拡張胚盤胞」へ進化します。さらに進むと、透明帯が軟らかく薄くなることで亀裂ができ、胚盤胞が外へ脱出(ハッチング)して、子宮内膜に着床するようになります。
しかし、凍結融解胚は、新鮮胚に比べてこの透明帯が硬くなり、ハッチングするのに時間がかかることになるとされています。それにより、本来の着床に最適なタイミングとずれが生じてしまい、着床率・妊娠率が低下してしまうとされています。
以上より、レーザー技術を用いて、特に凍結融解胚において、その初期胚の透明帯は薄く(菲薄化)し、胚盤胞は穴をあけて(開口)、孵化や着床が順調に進むように手助けしています。

アシステッド・ハッチングに
向いている方

  • 凍結融解胚移植を行う方
  • 年齢が高い方
  • 透明帯が通常よりも厚い場合
  • 透明帯が硬い場合
  • 何度か良い胚を戻しているにもかかわらず妊娠しない場合

アシステッド・ハッチングの種類

機械法

マイクロピペットを用います

化学的方法

酸性タイロード液やプロナーゼ溶液という薬品を用います

レーザー法

レーザーを照射します
※当院では、レーザー法を用いたアシステッド・ハッチングを行っております。赤外線レーザーを用いて、胚移植前に透明帯へレーザーを照射することで、透明帯の一部分を薄くしたり、開口したりしています。透明帯にのみレーザーを照射させているので、胚そのものへのダメージはありません。使用するレーザーはDNAの損傷リスクを最小限に抑えた、安全性の高い医療用レーザーです。

アシステッド・ハッチングの課題

レーザーによる
細胞への熱影響

当院では細胞に極力ダメージを与えないよう、透明帯のみにレーザーを照射させています。

多胎発生のリスク

原因ははっきりとは分かっていませんが、透明帯から胚が脱出するときに開口部にひっかかってしまうことや、胚移植時に子宮内腔に胚が当たった衝撃で、胚が2つに分かれてしまうことがあるとされています。アシステッド・ハッチングにより、一卵性双胎の出産率がわずかに上昇してしまうことが懸念されています。

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