子宮腺筋症

子宮腺筋症

子宮腺筋症について

子宮内膜に似た組織が子宮筋層の中に入り込んでしまうことで、子宮全体または筋層の一部が厚くスポンジ状になる疾患です。子宮内膜の組織は本来、子宮の内側に存在しているもので、月経時に出血として子宮外に排出される性質を持っています。病変が子宮全体にある場合、子宮筋層全体が肥厚し、子宮全体も肥大することがあります。卵巣にチョコレート嚢胞が生じ癒着が起きることで、不妊症の原因をはじめ、性交障害や慢性的な疼痛の原因にもなります。

子宮腺筋症の原因

明確な原因は解明されていませんが、エストロゲンという女性ホルモンに子宮腺筋症の進展・増悪させる作用があることは判明しているため、何らかの関係があるとされています。また、出産や流産、子宮内膜症も子宮腺筋症に関与しているとされています。

子宮腺筋症にかかりやすい人

35~50歳の女性に多い傾向があり、約20%の女性が発症すると言われています。しかし近年では、20~30代の発症者も珍しくありません。経産婦に多く、筋腫の手術や帝王切開などの手術を受けた方に多くみられます。
また、子宮腺筋症の方の6~20%に子宮内膜症が、64%に子宮筋腫があると報告されています。

子宮腺筋症の症状

など

妊娠・出産へのリスク

  • 不妊症
  • 繰り返す流産・早産
  • 赤ちゃんの体重が増えない
  • 破水
  • 産後の大量出血

など

子宮腺筋症の診断

内診では、まず子宮の痛みがないか確認します。
また、採血検査(腫瘍マーカー)や超音波検査、必要に応じてMRIを行います。
特に、MRIでは、大きさや部位、個数、変性の有無など詳細な情報まで調べることができます。

子宮腺筋症の治療

症状の度合いや、妊娠希望の有無、患者様の年齢などを考慮しつつ、薬物療法または手術療法を選択します。
薬物療法が効かない(または難しい)場合は、手術を検討します。ただし、子宮腺筋症の手術は比較的難しく、術後の半年〜1年間ほどは避妊を継続しなければならず、妊娠後の子宮破裂のリスクも残るため、手術に関しては慎重に検討します。

妊娠を希望される方の治療

デュファストンという黄体ホルモン剤を処方いたします。この薬剤は排卵を抑制しないため、妊娠希望の方でも服用可能です。またGnRHアゴニストというホルモン剤を一定期間のみ使用し(その間は妊娠できません)、一時的に子宮腺筋症を縮小させ、その後再度妊活を進めていくこともあります。

妊娠を希望されない方の治療

低用量ピルやジエノゲストの処方、GnRHアゴニストによる偽閉経療法(女性ホルモンを下げて閉経に近い状態にする方法)、避妊リングなどを検討します。これらの治療を行っても改善できなかった際は、手術(子宮摘出)を検討します。40歳以上の方や、妊娠希望のない方は、手術を推奨します。
特に40歳以上の方の場合、ピルはエコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)のリスクがあるため、基本的に推奨されません。
また、45歳以降の方の場合は、閉経が近いため、GnRHアゴニストによる偽閉経療法などで閉経まで逃げきる選択も可能です。

ミレーナ 52mg(レボノルゲストレル放出子宮内システム)

子宮腺筋症の治療法として、「ミレーナ」という「避妊リング(正式名称:レボノルゲストレル放出子宮内システム)」を使う場合があります。
日本では2014年から、月経困難症や過多月経、単純型の子宮内膜増殖症の治療として活用されており、疾患治療として利用する場合、保険適用となっています。
子宮腺筋症の患者様がミレーナを挿入した場合、経血量の減少や、腺筋症病変部位の縮小、疼痛の改善が期待できます。
※子宮筋層が厚い場合は、除痛効果が発揮されにくかったり、自然脱出の可能性が高まったりする恐れがあります。当院では、多様な選択肢の準備をしつつ、患者様に最適な治療法を提案していきます。ご不明点等ございましたら、お気軽にご相談ください。

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